M&A業界への転職・トップインタビュー M&Aテックで働き方を変える! M&A総合研究所CEO佐上峻作氏が描くビジョン

AIによるマッチングテクノロジーを駆使した完全成功報酬型のM&Aサービスを提供するM&A総合研究所。
代表取締役CEOの佐上峻作氏に、創業に至った経緯や、M&A総合研究所の独自の強み、業界の今とこれからについてお伺いしました。

*プロフィール
佐上 峻作(さがみ・しゅんさく)
株式会社M&A総合研究所 代表取締役CEO

1991年生まれ、神戸大学農業部卒。2013年に(株)サイバーエージェントグループ会社のマイクロアドに入社し、その後24歳で独立し起業。企業から1年で東証一部上場企業である(株)ベクトルに事業を12.5億円で売却した後もベクトル子会社の社長を務め、総勢10件弱、総額約50億円の企業売買に携わる。そこでM&Aの非効率さ、不透明さを痛感したことと、祖父が営む会社の廃業を目の当たりにし、事業承継やM&Aに対する課題を改めて認識しM&A仲介業での創業を決意。2018年に創業して以来、徹底的に業務の効率化、スピード感にこだわり続け、属人的で非効率なM&A業界において、独自のAIやDXを活用し、通常成約まで10ヶ月から12ヶ月かかるM&Aを平均7.7ヶ月、最短3ヶ月にまで短縮することに成功し、さらに顧客負担を最小化できる完全成功報酬型のサービスを実現。今後は、国内最先端のAIを開発する(株)PKSHA Technorogyとの提携を深めることでAI強化を加速し、M&Aのさらなる高速化を目指している。

株式会社M&A総合研究所
2018年10月に設立。M&A仲介業務にテクノロジーを取り入れた「M&A×TECH」のリーディングカンパニーとして、AIの活用、DXによる業務効率化を通じてコストを削減し、案件のスピーディな成約、完全成功報酬制のM&Aサービスの提供をしている。

売主側になって感じたM&Aに対する不安や不透明感が創業につながった

――M&A総合研究所の創業は2018年ですが、2015年にITベンチャーである株式会社メディコマを立ち上げています。起業家になりたいという思いは、もともとあったのでしょうか。

当時、神戸大学とダブルスクールでデザインの学校に通っており、デザインとコーディングができたらキャリアにつながるのではと、その勉強をしていました。大学卒業後は、サイバーエージェントグループの(株)マイクロアドで、エンジニアとしてアルゴリズムの開発を2年半経験。その実績をもとに、メディコマを立ち上げました。女性向けのメイクやファッションのWebメディア運営と、男性用の化粧品製造・販売を手掛ける、いかにも ITベンチャーという事業内容でした(笑)。

――メディコマを立ち上げた1年後には、ベクトルに株式譲渡しています。その決断の理由とは?

会社の将来を考えたとき、「M&Aで売却する」「IPOを目指す」「そのまま事業を継続する」の3択がありました。IPOを目指すには、当時の自分はそのレベルに達していませんでした。事業を存続させていくにしても自分の力だけで伸ばすのは難しいと思いました。M&Aで会社を売却すれば、大手の傘下に入りながら事業拡大を目指せますし、M&Aで資金が入ることで次のチャレンジができる。何より、自分が当事者としてM&Aを経験し経営者としての視座を上げたいという気持ちが大きかったです。

――売却側の当事者になったことが、M&A総合研究所の創業につながっていきますか。

そうですね。売却後は、子会社の社長をしながら、様々な企業・事業買収と売却を経験しました。その中で、M&Aの仲介会社の方と出会うケースが多く、業界を外から見ることでいろんな課題が見えてきたんです。
M&Aアドバイザーの方々は非常に優秀ですが、非効率的でアナログな働き方に驚くことが多かったです。ずっとIT業界にいたからこそ、金融業界特有の泥臭い営業スタイルに素朴な疑問を抱いたんだと思います。
例えば、売主への企画概要書類を作るだけで2、3カ月かかり、提案が始まるまでのタイムロスが大きい。作成しながら提案もできるのに、業界慣習的にやらないという固定観念が効率化を阻んでいたんです。手紙や書類を封筒に入れて送るという小さな手間一つとってもIT化できる余地はたくさんありました。

売主を第一に考え、テクノロジーを活用した完全成功報酬型の料金体系を導入。
独自のシステム開発による徹底的な業務効率化を推進

――それらの課題意識から生まれた、M&A総合研究所の強みについて教えてください。

大きな特徴は、ビッグデータとAIを活用した企業同士のマッチングサービスを提供している点です。
2021年1月には、機械学習や自然言語処理のアルゴリズムソリューションを展開する会社株式会社PKSHA Technologyと業務提携を結び、本格的なAIマッチングテクノロジーの精度向上に向け取り組んでいます。これにより各企業の強みや主力商品といった詳細なレベルでの企業分析が実現し、これまで以上にシナジーを生む企業様同士の高度なマッチングができるようになります。

売主と買主のマッチングは、人間だけが考えても抜け漏れがあります。ある商材を扱っている売却候補の企業があったら、買収先候補としてその商品を扱っている会社がないか一つひとつ調べて電話をかけるのが、今までのM&A仲介のやり方でした。当社では、AIマッチングサービスにこれまでのM&A情報をどんどん学習させることで、抜け漏れなく瞬時にその商材を扱っている会社を出したり、人間の発想だけでは思いつけないマッチングを提案できます。

――AI活用によって生まれたマッチングにはどのようなケースがありますか。

例えば、IT企業を博物館経営をしている不動産関連会社が買収したケースです。AIがマッチングの背景には、不動産会社がIT企業を買い、レガシー産業のIT化(不動産テック)を進めるM&A事例を学習していたことがあります。同じ規模感の不動産会社ならIT企業を買うのでは…とAIからサジェスチョンが入ったのです。

「なぜ、不動産会社がリストに入っているんだろう」と不思議に思いつつ、そのまま提案したところ、すぐにM&Aが決定。買い手側には「すごくほしいと思っていた。なぜそれがわかり提案できたのか」と驚かれました。

このように、サジェスチョンを受ければ、事例が思い出され「確かにそうだな」と納得することはたくさんあります。でも、それを人間の頭で発想するのにはかなり時間がかかるでしょう。AIは、人の深層心理にあるものを瞬時に思い出させてくれる、強力なサポーターなんです。
ほかにも、他社で200社くらいマッチングさせても決まらなかったディールが、AIのサジェスチョンにより1社のマッチングで決まったケースもありました。

AIはこれまでのディール内容を、提案した際の履歴を含めすべて学習しています。どの業界のどの規模の企業が、どの段階まで検討してやめたのかがデータとして蓄積されているので「この企業がここまで検討を進めたのなら、同業種・同規模の企業にもマッチング可能性があるだろう」と提案内容が精査されていきます。これからもどんどん賢くなっていくでしょう。

――その進化が、成約決定までのスピードもますます加速させていくんですね。M&A総合研究所は「完全成功報酬型」を導入している点でも、迅速な対応を可能にしています。

完全成功報酬型を取り入れたいと思ったのは、僕自身が売主側を経験したとき、あまりに知識がなく、情報格差がある中での交渉が圧倒的に不利だと感じたからです。
経営者がM&Aを経験する機会は一生に一度あるかないかでしょう。契約書をどう作ればいいのか、どんな値段の決め方をされるのかが全然わからないのに、多額の着手金を払わなければいけない。その不安感を取り除きたくて、売主に事前にいろいろアドバイスしながらディールを進めていくビジネスモデルにしたかった。売主のことを一番に考えた仲介会社であるためには、完全成功報酬型を取り入れる必要がありました。

完全成功報酬型のデメリットは、お金を事前に受け取れないゆえの会社としてのキャッシュフローの悪さです。一方、メリットも大きくて、完全成功報酬型を導入している競合がほとんどないので、バッティングしても料金体型で負けることがほとんどありません。営業負けしないというメリットを享受できるように、徹底的な業務効率化を図る必要がありました。

――売主さんのことを考えたゆえの、IT化による業務効率化だったんですね。

そうです。人がやらなくていい作業は一切やらないように社内システムを構築しています。営業が求めるDXはどんどん取り入れており、これまでに1000回以上のアップデートをしてきました。今でも1日3つほどは機能改善要求が出てくるので、社内にいるエンジニアが、それらを随時反映させていきます。効率化によって経費が浮いているので、完全成功報酬型のリスクもとることができるんです。

――効率化とは具体的にどのような業務削減を実現しているのでしょうか。

例えば、お客様への提案は打診先のリストをシステムに登録するだけで半自動的に送付される仕組みを構築しています。従来のような手紙を封筒に入れて投函するといった煩雑な作業は不要です。
わかりやすい例では、NDA(秘密保持契約)を締結する工程の効率化があります。M&AではNDAを結ばないと話が進まないのですが、いろんな会社に会って機密情報を聞き、稟議申請を進めるのはとても大変です。月に数百程度のNDAが動きますが、1つを進めるのに約7分かかっていたんです。
そこで、簡単な稟議システムを自社開発し、ボタンを押せば書面がPDF化され、次のボタンを押せば上長を設定でき、自動で稟議申請メールが飛ぶようにしました。すると、業務時間が7分から1分になり、6分の短縮が実現しました。月100件のNDAがあったとすれば、600分の削減につながり、1営業日を創出できたことになります。
事務的な作業をシステムに代替させることにより、本来時間を注ぐべき業務、例えば売主へのこまめな情報共有や魅力的な提案資料の作成などに注力することが可能になりました。これによりサービスの質を高めることにもつながっています。
このように、どこを効率化できるかは徹底的に洗い出します。僕自身もエンジニアなので「ここを改善できるのではないか」と常に仕組み化を考えています。

上場の先に描く壮大なビジョンを一緒に追求していきたい

――M&A総合研究所で実現したいビジョンとは何ですか。

今はM&A業界という領域の改革を進めたいと強く願っておりますが、こうして社会のさまざまなレガシー産業にテクノロジーを組み合わせ、社会をより快適に、人々をより幸せにしたいと思っています。
M&A仲介業は、僕自身が困った経験があり、テクノロジーを組み合わせればよりよくなるのがイメージできた。でも、これはあくまでも一事業です。
今後はM&A以外の領域においても同様のスキームを活用することで社会をより良くできるのではないかと考えています。

デザイナー兼エンジニアであったためインターフェイスの細かいところにも気が付くところなど、守備範囲の広さが僕の強みだと思っています。将来は時価総額一兆円規模の会社にしていきたいです。

――求職者にとって、M&A総合研究所で働く魅力、得られる経験やスキル、キャリア価値はどんなところにあると思いますか。

上場という一つの目標に向けてモチベーション高く働ける環境は、大きな魅力だと思います。上場を目指すプロセスでは、50名程度の社員にすべての情報をオープンにしています。「こういうPR/IR戦略を練っていく」「上場後にはこんな事業戦略を描いている」など。僕らは経営者を相手に仕事をしているので、プロセスを知ってもらうことは全社の営業力にもつながり、社会人としての視座も上がると思うんです。「一緒にがんばろう」と切磋琢磨できる経験は、社会人ではなかなかできないこと。小規模組織だからこそ、同じ方向を向いて仕事がしやすいのではないかと思います。

業務面では、効率化を進めたことで一人当たりのM&Aの案件数が業界平均より多くなっており、ほとんどの社員が入社後2ヶ月程度で最初のアドバイザリー契約を結んでいます。

常にIT化を進めているので、自分の意見がシステムに反映されて効率化につながり、さらに仕事がしやすくなる良さがあります。それにより営業活動時間が他社よりも15~20%捻出できているので、シンプルにインセンティブを稼ぎやすいというメリットもあります。

――これからジョインする求職者に求める力やマインドセットとは何ですか。

一つは、先読み力です。M&Aでは、次に何が起きるかというリスクを早いうちに把握して先んじて対応できる人が強い。「こういう条件面で揉めそうだな」というリスクがあれば、売主、買主それぞれに期待値調整し、懸念点を一つひとつクリアにしていく。課題を捉えて行動に移していく力は大切です。
もちろん、ディールを読むのは知識と経験がなければ難しい面もあります。ただ、先読み力は、営業プロセスにおいてもとても重要だと思っています。
当社では営業プロセスの数字をすべてオープンにしており、そこから課題を読み取ることができます。例えば、アポはきちんととれているのにアドバイザー契約がとれないのであればアポの質を改善すべきかもしれません。「トーク内容が悪いのか、資料の完成度が低いのか」と原因をドリルダウンし、周りに面談のロールプレイングや同行をお願いするなど、考えて動ける人は成長も早いですね。

もう一つは、ロジカルでありながらエモーショナルな口説きができる地頭を持っていることです。
売主の立場に立てば、正論を理路整然と語っているだけの人に、M&Aという人生の大きな意思決定を委ねたくないでしょう。「自分に頼ってもらえたら何とかします!何でも言ってください!」と感情に訴えかける力、あたたかみはとても大事だと思います。

――これからM&A業界はどうなっていくと考えていますか。

まず事業承継は加速していくと思っています。これまでは「まだ元気だから経営を続けていこう」と思っていたところにコロナ禍が訪れて、「何が起きるか分からないので、元気なうちでも事業承継としてのM&Aを考える」ことが、後継者問題を抱える会社だけでなく、成長フェーズの会社の経営者の選択肢としても増えました。
そしていま現在も「これを機に」と考える経営者は増えていますし、仲介会社も増えているため、双方相まって加速するでしょうね。

そんな中でも、当社ではAIテクノロジーや徹底したDXという強みを活かして、さらにお客様に信頼される企業を目指し、加えてこのノウハウを幅広い業界で活用できるよう努めたいと考えています。

――最後に、転職を考えている求職者に向けてメッセージをお願いします。

今当社で活躍するメンバーは「レガシー産業×テクノロジーの組み合わせで新たな価値を創造する」というビジョンに共感して入社しています。その壮大な想いに面白さや将来性を感じてくださる方と一緒に働きたいですね。

メンバーの半分は仲介会社出身で、残り半分のうち7割が金融業界出身者、3割がメーカーなどの営業職出身者です。将来、経営人材を目指す人も多く活躍しています。若くて勢いのある人ばかりで、僕自身も29歳なので経営者としては若い。新しい発想で新しいことをやる上で、若さを一つの強みに、みんなでいい会社を作っていきたいと思っています。

M&A仲介の転職希望者はサムライソウルまで

サムライソウルでは、M&A仲介企業への転職支援でTOPクラスの実績があります。

(1)M&A仲介企業への転職実績

国内最大手のM&A仲介企業の転職支援実績で決定数多数の表彰受賞や、
新進気鋭のM&A仲介企業においてもTOPクラスの決定実績があります。

具体的に企業が求めている人物像、また面接や選考内容について圧倒的な情報量を持っていると自負しています。

(2)M&A仲介企業内の豊富な人脈と情報のネットワークがあります。

転職に大切なのはネットワークだと考えています。まだまだ公けに出ている情報が少ないM&A仲介業界の内情ではありますが、弊社では上場している大手3社や新進気鋭のM&A仲介に関わる企業の経営幹部や、弊社で転職支援をして実際にM&A仲介企業で働いている多数の社員とのつながりがあります。

メディアやネットに書かれている情報よりもリアルで詳細な情報をお伝えすることも可能ですし、経営幹部や社員との接点を創ることも可能です。

M&A業界への転職相談を希望される方はこちらのお問い合わせフォームからご連絡ください。

お問い合わせはこちら

\/
無料で転職相談をする