【SaaS企業・社員インタビュー vol.6】株式会社セールスフォース・ドットコム 広瀬佑貴 -Pardotセールス組織の立ち上げでキャリアの「掛け算」が加速-

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今回は、「SaaS企業・社員インタビュー」の第6弾として、株式会社セールスフォース・ドットコム(以下「Salesforce」)の部長を務められる広瀬佑貴氏に、Salesforceの魅力や現在の仕事内容、こんな人にSalesforceに来てほしい、など、ざっくばらんに語っていただきました。

転職企業・転職業界を考えるときの参考にしてみてください。

(聞き手・サムライソウル編集部)

■広瀬佑貴(ひろせ ゆうき)氏のプロフィール
株式会社セールスフォース・ドットコム
ソリューション営業本部 Pardot第二営業部 部長

1984年生まれ。2011年にBtoBマーケティング支援のベンチャー企業に入社。テレマーケティングの営業を経てMAツールの新規営業を担当。2016年にセールスフォース・ドットコムに入社。同社の扱うMAツール「Pardot」の国内販売の立ち上げに参画し、現在同チームのマネジメントに従事。

 

「3年で人の3倍働く」を自分にコミットし、28歳でビジネスキャリアをスタート

サムライソウル編集部
ーー広瀬さん、この度はインタビューの御協力ありがとうございます。最初に、広瀬さんのキャリアの歩みを教えてください。

広瀬さん
大学院に通っていたこともあり、一般的な新卒の年齢よりかなり遅れて27歳で就職活動を始めました。恥ずかしながら当時はロクに業界研究すらしておらず、BtoBもBtoCも分からないまま漠然と広告業界を受けていました。当時はなんとなく広告系の仕事に憧れを持っていたんですよね。

ただ、28歳で新卒社会人になるわけですから、実力主義で評価をしてくれそうなベンチャー企業を軸に就職活動をしていました。その中で受けたBtoBマーケティング支援の会社に紆余曲折あって入社し、ビジネスキャリアをスタートさせました。

 

ーーストレートで社会人になった同期よりは遅れてのスタートだったんですね。ちなみに紆余曲折とは?

広瀬さん                                                                                                            実は採用試験では落ちてしまったんですよ、最終面接のあとにお祈りメールが来まして・・・(笑)。でも何となく「ここだ!」という確信があったので、すぐに電話をかけて再面接のお願いをし、なんとか面接をとりつけることができました。結果的にはこのあともう一度落ちるんですが(笑)、当時の役員にチャンスをもらいまずはアルバイトとしての入社が叶いました。

アルバイトを経て翌年からは正社員になりますが、すでに年齢は28歳。ストレートで社会人になった同期より5年も遅れていたので、30歳までには追いつき追い越したかったのと、チャンスをくれた役員や、アルバイト中に成長を支援してくれた先輩方に恩返しをするには自分が活躍するしかないと思っていたので、「3年で人の3倍働く」と心に決めて仕事をしていました。

ーーなかなか面白い就活エピソードですね(笑)。入社後はどのようなお仕事をされていたのでしょうか?

広瀬さん
アルバイト時代はちょうど「マーケティング推進室」という部署が立ち上がったタイミングだったので、Salesforceに登録された企業の名寄せをしたり、営業のアポを獲得するためのアウトバウンドコール(今で言うインサイドセールス)などをしていました。当時はまだ2011年ですが、この会社ではいち早くSalesforceを導入していたんですよね。

その後、アウトバウンドテレマーケティングの新規営業を経て、自社開発のMAツールの新規営業を4年ほどやりました。後半は営業チームのリーダー的なポジションをやらせてもらったり、※1 フリーミアムモデル 立ち上げの経験もさせてもらいました。

この頃は「3年で人の3倍働く」というテーマもありましたし、必死で量を追求していた記憶があります。

※1 フリーミアムモデル・・基本的なサービスや製品は無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能については料金を課金する仕組みのビジネスモデル

 

Salesforce社にて「Pardotの拡販」というポジションの募集を聞きつけ、引き寄せられるように入社

ーーその後Salesforceへの入社は2016年とのことですが、入社の経緯はどのようなものだったのでしょうか?

広瀬さん
2014年に外資系MAベンダーが日本法人を立ち上げたことを皮切りに、当時は国内のMA市場が活性化してきた頃でした。その流れの中にSalesforceもいて、2016年から本格的にMAツール「Pardot」の国内拡販が始まります。このタイミングで「SalesforceでMAツールのセールスポジションを募集している」という情報を知人からたまたま聞き、採用面接を受けて入社しました。

Salesforceを受けた理由の1つは、当時の営業先の6割ほどがCRMとしてSalesforceを使っており、顧客からの連携要望も非常に多く、だったらいっそSalesforceでMAとCRMをセットで提案した方がお客様のためになると思っていたからです。そのよう感じ始めた頃に募集の話を聞いたので、自分の中では「今が転職のタイミング」だとしっくりきていました。

もう1つは、もちろん当時もやりがいを持って仕事はしていたものの、多少なりともコンフォートゾーンに自分がいることを自覚していましたので、外資の営業という厳しい世界で新たなチャレンジをしたかったというのもあります。

MAの売上を最大化させるために重要だと感じたセールスイネーブルメント。今後のキャリアビジョンは?

ーー入社からの広瀬さんのSalesforceでのミッション・役割を教えてください。

広瀬さん
私はPardotの専任営業として入社をしていますので、最大のミッションは任されたセグメントでPardotの売上を最大化させることにあります。このようなプロダクト専任営業のことをSalesforceでは「Co-Prime Sales」とよびます。「Co」とは「協働」や「共に」などを意味するもので、直訳すると「主体者として共に動く営業」ですね。

これまでのSalesforceではアカウント営業スタイルが一般的で、営業が全ての自社製品を勉強し顧客に提案活動を行ってきました。しかし、買収等によって製品が増え、提案活動に専門的な知識が必要なケースも増えてきたことから、専門知識を持ってアカウント営業と共にセールス活動を行う人材が必要になりました。

このような経緯で創生されたのがCo-Primeというポジションです。SalesforceではPardotに限らず、ServiceCloud、Platform、Quipなど、様々な製品にCo-Primeというポジションがあります。

Co-Primeは数字の責任を負っている以上営業活動もやりますが、アカウント営業数十名を1人で担当するケースが多いため、売上を最大化させるためにはアカウント営業のスキルアップも必要になります。したがって営業という役割はもちろんのこと、セールスプレイやアセットの整備、イネーブルメントなど、売るための仕組みを作る役割も同時に担うことになります。

ーーアカウント営業と共にPardotのセールスをしていく上で具体的にどのようなことをされてきましたか?

広瀬さん
とくに力を入れたのは2つです。
1つ目は「イネーブルメント」です。イネーブルメントとは、営業のスキルを強化・改善するための教育プログラムや、営業プロセスの仕組み化・整備のような取り組みの総称を指します。

例えばSFA・CRMを提案する際に必要なヒアリング項目と、マーケティングツールを提案する際に必要なヒアリング項目は異なります。ヒアリング項目が異なれば、商談前の事前準備や仮説立てもこれまでと同じとはいきません。BtoBの営業ですから「現在の状況→課題→目指す姿」、つまり 「As Is → To Be」を明確にしていくという基本的なスタイルは変わりませんが、プロダクトが変われば営業の勘所も異なってきます。

これまでSFA・CRMをメインにセリングしてきた人たちにマーケティングツールを売ってもらうことになりますので、この勘所をいかに組織全体にインストールしていくか、これが入社当時の目下の課題であり、特に力を入れて取り組んできた内容になります。

MAとは何か?
・なぜ必要なのか?
・どんな企業に提案できるか?
・どんな視点でWebサイトをみるか?
・どんなヒアリングをすればいいか?
・事例は?
・Pardotの強みは? etc…

商談に自分が入れるなら実際にやって見せて教えていくことはできますが、入社当時はCo-Prime組織ができたばかりでまだ人数も少なく、個別に対応するには私のリソースの限界がありました。そこでイネーブルメント施策によって組織全体のスキルを底上げする必要があったのです。

2つ目は「KPIの異常値の把握と対策」です。与えられた予算を達成するための要素を分解してKPIに落とし、Salesforceのレポート・ダッシュボードを用いながら「組織・Team・個人」の視点や「時間軸」の視点でトラッキングし、全体としてうまくいっているか?異常値はないか?異常値があったとしたらどう対策するか?などを考えて実行してきました。

例えば、Pardot商談を作ることが苦手な営業と、Pardotの商談は作れるがフェーズアップが苦手な営業では課題と解決策は異なります。イネーブルメントで全体スキルの底上げをしつつ、時には個々人の課題に目を向けて解決策を考えることにも力を入れました。

私が転職した当時はCo-Prime組織が立ち上がったばかりということもあり、このような仕組みをゼロベースで考えていかなければなりませんでした。前職ではいち営業という立場で仕事をしていたので、組織全体を俯瞰して課題を捉えアクションに繋げるという経験は、今後のビジネスキャリアには非常にいい経験だったと思っています。

 

ーー良い転職にはタイミングの良さも非常に重要であることがよくわかるエピソードですね。広瀬さんは今後のキャリアビジョンをどのように考えていますか?

広瀬さん
将来のなりたい像として「ジョブ型雇用時代を生き抜けるビジネスパーソン」、具体的なイメージとして「40歳で事業/部門の責任者として指名買いされるビジネスパーソンになる」という目標を設定しています。指名買いとは「今の事業のフェーズが●●なので、広瀬を投入してビジネスのドライブをかけよう」という風に社内外を通して名前が挙がるイメージです。

これを達成するために必要な要素と働く環境は、以下のように自分なりに整理をしています。

図1.指名買いされるためには

図2.働く環境をどのように選ぶか

ーーキャリア形成の上で、他のビジネスパーソンにも多く活用できそうな素晴らしい概念図ですね。私の今後のキャリアビジョンに使わせていただきます。

広瀬さん
私の尊敬する大先輩に1年間メンターをやっていただいた際に「広瀬は将来どうなりたいの?」と質問を投げかけられたのがキッカケで作成したものです。こうやって作ってみると、自分の方向性の整理にもなりますし、迷ったときの判断基準にもなったりするので、時間はかかるかもしれませんが皆さんも作ってみることをオススメします。

Salesforceが大事にする「カスタマーサクセス」と「1-1-1モデル」

ーーここまでは、広瀬さんのキャリアに関してお伺いしてまいりました。ここからは、Salesforceの雰囲気や働く社員のイメージ、大事にしているカルチャーなどをお伺いしてまいりたいと思います。まず、Salesforce社内の雰囲気を教えてください。

広瀬さん
一言で言えば「でっかいベンチャー」ですね。会社規模は大きくなりましたが、さらに組織が急速に拡大していく様や、製品サービスの買収によって新たにセリングできるソリューションが増えたり、それに伴いポジションも増えていく、まさにでっかいベンチャーですね。前職では50名から100名規模に成長する過程を経験しましたが、規模は違えど同じような雰囲気を感じます。

一方、営業の年齢層という点では、ベンチャー特有の若手ばかりかというとそうではなく、SMB(中小企業)を担当するセグメントでは若手が多いですが、Enterprise(大企業)を担当するセグメントでは経験豊富なミドル層も多いです。ベンチャーマインドはキープしつつフォーマルで落ち着いた一面もありますね。

 

ーー「Salesforceではここを大切にしている!」というポイントがあれば、教えてください。

広瀬さん
おそらく多くの社員がこの質問をされた時に真っ先に出てくるのが「カスタマーサクセス」だと思います。これは営業はもちろんのこと、バックオフィスで働く人も含め大切にしている価値観の1つです。

当社はSaaSビジネスですから、継続契約をいただくことで収益が上がるビジネスモデルになっております。これを逆から見れば、成果が上がらなければいつでも解約されてしまうリスクがあるということです。導入してもらったお客様へはしっかりとサポートをして成功をしてもらい、我々はそれによって継続的な収益を上げ、新たなビジネスチャンスを見出していく。ビジネスモデルにカスタマーサクセスが前提として組み込まれているのも素晴らしいですね。

 

ーーSalesforce特有のカルチャーという点ではいかがでしょうか?

広瀬さん
特有のカルチャーという点では「1-1-1モデル」が挙げられます。
「1-1-1モデル」とは、製品の1%、株式の1%、就業時間の1%を活用して社会に貢献するというモデルのことを指します。1999年の創業以来、Salesforceが製品提供を通じて支援してきた非営利団体の数は世界で27,000団体以上、助成金は1億ドル以上、社員がボランティア活動に費やしてきた時間は110万時間以上にものぼります。

このようなカルチャーは「実際に働いている従業員からは遠い存在に感じるのでは?」とイメージもあるかもしれませんが、そんなことはありません。実際に「今日の午後は公園の清掃を部署全体やります〜」というのが普通にあります。

企業は利益をあげるだけの存在ではなく、社会の一員として社会貢献をしていく存在であるべきという創業者の思いがカタチになったカルチャーで、本当に素晴らしいものだと感じています。

Salesforceで活躍している人材に共通する特徴

ーーそれでは、「Salesforceで活躍するための資質」というテーマに移りたいと思います。Salesforceで活躍する人材に共通する特徴を教えていただけますでしょうか?

広瀬さん
期待はずれな回答かもしませんが「当たり前のことを当たり前にこなせる人」だと感じています。たしかに活躍している人のなかには飛び抜けてセンスがいい人もいたりしますが、「お客様目線で考える」「準備をしっかりする」「レスが早い」「感謝を伝えることを怠らない」「報告をする」などなど、こういった当たり前のことをちゃんとできている人がやっぱり活躍しているという印象です。そういう意味では誰にでも活躍できるチャンスはあると思いますね。

もう1つ挙げるなら、自分の「As Is To Be」をしっかり理解して自走式で前進できる人でしょうか。将来自分はこうなりたい → Gapはここ → Gapを埋めるために必要な行動を考えアクションする、こういった一連の流れを自分で考えて行動に移せる人です。

「営業として成長したい」だったり、生々しいことを言えば「お金を稼ぎたい」だったり、動機は人それぞれあると思いますが、そういった目標意識みたいなものを活躍している人は必ず持っていると思います。

Salesforceではこんな人と一緒に働きたい

ーー「Salesforceにどのような人に来て欲しい?」という問いも上記のような方になるのでしょうか?

広瀬さん
そうですね。「目標を持って自走式で走れる」こういった方とは是非一緒に働きたいと思います。会社も大きくなり様々な仕組みもある一方、世の中は常に変化していっていますので、これらに敏感に反応し「さらに良くしていくためにはどうしたらいいか?」を一緒に考えていける人と働けると嬉しいですね。

 

ーーSalesforceさんは大きな組織でありながら、ベンチャーマインドをキープして個々の社員が活き活きと働き、誰にでも活躍できるチャンスのある会社という印象を持ちました。広瀬さん、本日は長時間のインタビューをありがとうございました。

広瀬さん
ありがとうございました。

 

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