~楽天の現役社員インタビューvol.1~ 店舗様×コンサルタント、店舗様×店舗様 人との繋がりが、選ばれるECサイトを作り上げる
楽天市場へ出店して間もない店舗様の売上アップに向けたサポートを行う店舗/サイト開発部 インキュベーション課。現在、同部のシニアマネージャーとして活躍するTeraさんは、部門立ち上げから事業拡大までを一手に担ってきました。立ち上げ当初5人だったメンバーはいまや50人となり、楽天市場の中でも重要な事業に位置付けられています。出店後のサポートに力を入れようと思ったきっかけや立ち上げの大変さ、今後事業が実現したいこととは何か、話を伺いました。
Teraさん
楽天株式会社 マーケットプレイス事業 店舗/サイト開発部 店舗インキュベーション課 シニアマネージャー
―楽天市場の中でインキュベーション課の役割とは何ですか? 立ち上げの経緯とあわせて教えてください。
インキュベーション課は売上規模がまだ小さい店舗様を担当し、継続的に売上を伸ばせるようサポートする部門です。2015年に新規部門として立ち上げ、少しずつメンバーを増やしながら成長させてきました。
この課ができるまで、店舗様の事業成長はすべてECコンサルタントが担っていました。私自身もECコンサルタントを経験しましたが、複数の店舗様を担当していると、売上規模の大きな店舗様により多くのパワーと時間を割いてしまいます。経営上は合理的な判断ではありますが、小さな店舗様にサポートが行き届かないことがもどかしく感じることもありました。体制を考え直さなければ、すべての店舗様のポテンシャルを引き出すことができない、という課題意識がありました。
それをはっきりと自覚したのは、2009年にECコンサルタントとして鹿児島支社立ち上げを任された時でした。街で一番大きな商店街がシャッター通りになっているのを見たときが、「これからはECの力が地方を救う」と強く実感した瞬間でした。この商店街のお店のような、全国の小規模な売上の店舗様こそ、楽天市場の中長期的な売上に繋がるはずだ、と強く思ったことを覚えています。
インキュベーション課の立ち上げ当初こそ、「売上の小さな店舗様にどれほどのリソースを使うべきか」という議論もありました。しかし、事業部ができて5年経った今、インキュベーション課が担当する店舗様は、楽天市場全体の3割程度まで広がったのです。
―立ち上げへの思いは「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」という、楽天様のビジョンとぴったり重なっていますね。
そうですね。私自身が「地方をエンパワーメントしたい」という思いで2008年に中途入社しており、それは今も変わらずに持ち続けています。
私の経歴は少し変わっていまして、福岡で生まれ育った子ども時代から20代まで、ずっと野球人生を歩んできました。大学卒業後は実業団の野球部に所属し、プロになるチャンスを掴もうと必死でした。しかし20代前半で夢破れ、ずっと追い続けてきた人生の目標を失ってしまったのです。転職をしようにも、「野球をやってきた」と話をしたところでどこも相手にしてくれません。何をすればいいかわからず途方に暮れていたとき、ふと「自分が育ててくれた故郷に恩返しをするために、自分の力で地方を元気にできないか」と思い立ったのです。面接時に私の経歴を面白がってくれ、幸運にも楽天を立ち上げた創業メンバーの一人と面接で話すことができました。そこで、地元への思いを語ったところ意気投合して採用に。私にとって第二の人生がスタートしました。
―未経験からキャリアをスタートさせ、事業部立ち上げから拡大まで成し遂げ続けられている強さがありますね。何がご自身の強みだと思いますか?
私だけではなく、活躍しているメンバーに共通していることは、自らイノベーションを起こそうと主体的であるということです。与えられたレールの上を歩くのではなく、世の中にどんな影響を与えたいのか、自ら考え行動を起こせるかどうか。「店舗様のためにこんなことをやってみたい!」と発信する情熱があれば、私のように全く畑違いな人間でも、活躍の場を見出せる。それが、個人の力を引き出す楽天の強さだと思います。
また、「人の成功が自分の幸せ」という価値基準を持っていることも大切だと思っています。私自身、店舗様と議論を交わす機会もありましたが、その店舗様の商品やサービスをもっと広めたいと心から思うからこその熱い思いからでした。店舗様と同じかそれ以上の熱量で事業拡大に伴走することができたことは、私の強みかもしれません。
―やってきてよかった、と思うのはどんなときですか?
まずは、インキュベーション課が、楽天市場の中でも重要な部門の一つになっていることですね。立ち上げ時から「この店舗様は中長期的に伸びていくので、成長曲線を描くまで時間をください」「未来のために、この投資が大事なんです」と経営陣を説得しながら進めてきました。実際に2~3年後に、売上が数万円規模だった店舗様が数百万、一千万規模まで成長していく様子を見て、有言実行できた安堵感がありました。メンバーも約10倍まで増やすことができ、仲間を増やせたことにも喜びがあります。
そして何より、店舗様から「皆さんのサポートのおかげで今がある」と言っていただけることが嬉しいですね。事業規模も商品もまったく異なるそれぞれの店舗様に、全力で向き合うのは大変です。しかし、「地方をエンパワーメントする」という立ち上げ時の信念は変わらず、メンバーみんなが共感して力を注いでいます。だからこそ、地方の力になれたかな…と思える瞬間には、ものすごく感動があります。
―シニアマネージャーとして、メンバー育成の際に意識していることはありますか?
常に、「何をしたいのか、何をするべきなのか、どうすればよくなるのか」を問いかけるようにしています。メンバーそれぞれに自分の言葉で答えてもらい、自分で行動してもらう。その上で、実際にとった行動を振り返り、次への改善点は何か確認しています。
部門のトップとして戦略のアウトラインは持っていますが、こちらから提示することはしません。自分で考え行動しなければ、自分事として学べないからです。とくにインキュベーション課は、枠組みが決まっているのではなく、自分たちからアイデアを生み出さなければ組織価値が生まれません。私自身もそう成長させてもらったので、メンバーの自主性を信じるようにしています。
―インキュベーション課で経験を積むことで、どんなスキルが身につくと思いますか?
店舗サポートとは、経営コンサルタントと同じだと思っています。在庫管理やキャッシュフローをどうするべきかなど、中小企業を経営するための基本的なフレームは学ぶことができるでしょう。
しかも、同時並行で事業内容の異なる複数の店舗様を担当しますので、学びのスピードも量も膨大です。この先何が起こるのか、楽天が持つデータベースを活用して仮説を立て、成功を導くロジックを考えて提案していく。多角的な経営視点が身に付くはずです。
あらゆるケーススタディに触れられるので、商売に興味のある人や、将来、経営者として独立したい人にとっても、非常に濃密で面白い仕事だと思います。
―10年以上EC業界にいるから見える変化や、これからの楽天市場に求められることは何だと思いますか?
スマートフォンの登場によって、買い物の仕方、情報収集の仕方は一変しました。市場には巨大なライバルが登場し、物流のスピードは加速、注文してすぐに商品が家に届くことが当たり前になっています。今後は、キャッシュレス化が進み、時代はさらにEC寄りになるでしょう。
その中で、私は今が時代の転換期だと思っています。
楽天の強みは、テクノロジー競争だけに頼らない、人と人との繋がりにあります。世の中が便利になればなるほど、最終的には人の繋がり、感謝、感動といったものの価値は高まっていく。それが、モノを買う購買心理にも繋がっていくのではないかと考えています。
楽天では、店舗様ごとにECコンサルタントが必ず付き、ネーションズのような店舗様の勉強会の機会を設け、全国さまざまな拠点で店舗様と楽天市場とのタウンミーティングを開催しています。リアルな情報共有を大切にしているのは、人と人の繋がりが売上拡大や事業成長に結びついた実績があり、楽天市場が店舗様に選ばれる価値となっているからです。これらの活動が、店舗様をはじめ、エンドユーザーであるお客様からの信頼に繋がっていく時代になるのではないかと思っています。
―これから転職を考える方へ、メッセージをお願いします。
楽天市場は、店舗様の拠点や居住地、企業規模の大小に関わらず、誰もが対等に利用できるマーケットプレイスです。「この店舗様とともに頑張っていこう」と覚悟を決めて動けば、想像もしない売上規模へと進化させていく過程に携わることができる。それが、楽天市場に携わる最大の面白さだと思います。
私がECコンサルタントとして携わった地方のお店は、サポート当時、地元の人しか知らない小さな店舗でした。それが、10年経った今では楽天市場を代表する数億円規模の売上を誇る企業へと変化を遂げています。
楽天は、ITの先進企業だと思われがちですが、従業員同士の交流も多く、コミュニケーションも活発です。「ITを通じて世の中を豊かにしよう」という経営陣の思いを、メンバーみんなで追っています。変化し続けるECの世界に身を置いて、店舗様と一緒に成長していきたいという方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。