クロスボーダー案件の増加や投資銀行化が進む⁉ M&A業界の今後
M&A市場が活況なのはあと10年⁉
現在、M&A仲介会社の主な顧客は事業継承に問題を抱えている中小企業といっていいでしょう。とくに経営者が高齢化している中小企業の多くが事業継承に問題を抱えています。
中小企業庁がまとめた中小企業の経営者の年齢別分布を見ると、1995年には47歳の経営者がもっとも多かったのが、2015年には66歳の経営者が最多になりました。中小企業の経営者の新旧交代はほとんど進んでおらず、経営者の高齢化が進んでいることは明白です。
さらに2017年の中小企業白書によると、後継者に経営を引き継いだ経営者の年齢は、親族内で経営を引き継いだ場合は平均年齢が69.3歳。親族外の場合には平均年齢が63.7歳でした。また休業、廃業または解散した企業の経営者の平均年齢は68.4歳でした。
多くの中小企業にとって経営者の引き継ぎが緊急の課題となっており、M&Aによる解決を考える企業が増えていることも間違いありません。後継者候補がいない中規模法人では、「事業を継続させるためなら事業の譲渡・売却・統合(M&A)を行っても良い」と考えている割合が33.3%に上り、後継者・後継者候補がいる中規模法人の20.2%に比べて高い数値となっています(中小企業白書より)。
M&A業界に起こると考えられる、3つの動き
それでは、今後もこの傾向が続くのでしょうか。中小企業のM&Aが活発になった分、M&A仲介の市場に参入してきた会社も増えました。その分、競争も激しくなりました。
統計が示すように、中小企業の事業継承問題は今が山場です。今後は、経営者が事業継承問題に直面する60代半ばを迎える中小企業の数が少なくなっていきます。そして事業継承のタイミングを逃した企業は、経営者の加齢とともに自然に活動を鈍らせていくでしょう。
M&A仲介の市場が活況なのはあと10年ともいわれています。その先は、どのようなシナリオが描かれているのか、3つの動きから見ていきましょう。
【1】クロスボーダーのM&A
外国企業と国内企業のM&Aに目を向け、国境を越えたM&Aの案件を増やしていく道があります。
外国企業とのM&Aは、これまで大企業が中心でしたが、最近は中小企業の案件が増えています。買い手となる企業の業種が多様になっていることに加え、企業の規模も裾野が広がってきているといわれています。資金力がある中小企業が、海外市場に成長の可能性を求めることは珍しいことではなくなってきています。
主要なM&A仲介企業の中では、日本M&Aセンターが2016年にシンガポールオフィスを開設しています。今後は日本企業と海外企業の間でM&Aを実現させていく流れが加速するとみられています。
【2】新興企業と大企業のM&A
国内の新興企業が成長資金の確保や市場開拓のために、大企業とのM&Aを選ぶ事例が増えており、その手段として新規株式公開(IPO)をしのぐほどになっています。
日本は新興企業に集まる資金が乏しく、欧米や中国と比べて格段に少ないといわれています。これまで新興企業の資金調達方法の主流だったIPOだけでなく、M&Aによって大企業の資金や技術をベンチャー企業が活用できるようになれば、スタートアップのすそ野拡大や技術革新のスピード向上につながる可能性があります。逆に新たな事業の柱を探している大企業や中堅企業も少なくありません。
これまでは新興企業への投資は主にベンチャーキャピタルと呼ばれる投資会社が行っていました。そこへM&A仲介会社が参入し、新規事業のきっかけを求める大企業と資金を求める新興企業を結びつけ、両社にウィン・ウィンの関係を成立させるM&Aが増えています。
事業承継問題を抱えた中小企業に代わって、新興企業がM&A仲介会社の主要な市場になっていく可能性が注目されているのです。
【3】 投資銀行の役割も
資金力をつけたM&A仲介会社の中には、自ら中小企業を買収し、のちに売却することによって利益を得ようという流れがあります。できるだけ短期間に事業価値を高め、投資額を上回る売却額を得ることができれば、利回りのいい投資となります。
投資先が後継者問題で悩む中小企業の場合、社長交代を契機に経営資源を投入し、新たな発展や成長を目指します。人材、資金、販売力など必要される経営資源を的確に投入することができれば、会社は成長し、事業価値が高まります。
従業員に後継者候補はいるが、企業オーナーの株式を買取る資金力がないという問題がある場合には、M&A仲介会社が資金力のない後継者と手を組む方法があります。株主の変更さえ実現できれば投資先の会社の成長は順調に進むと考えられる場合は、こうした手法が有効です。
このように、M&A仲介会社が投資会社や投資銀行のような役割を担っていくことも考えられるでしょう。
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