リクルートに浸透するリモートワーク制度とは?特徴や活用例を紹介

以前まで、会社に出社するのは大半のビジネスパーソンにとって当たり前のことでした。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、多くの企業がテレワーク・リモートワークを活用し始め、在宅勤務という働き方が一気に浸透しています。

株式会社リクルートは、コロナ前から在宅勤務の制度を設けており、コロナ禍で一気に在宅勤務を普及させていきました。今回は、そんなリクルートに浸透する在宅勤務制度の特徴について紹介します。リクルートでリモートワークできる職種なども解説していくので、リクルートへの転職を検討されている方、リクルートの在宅勤務制度を参考にしたい方はぜひご覧ください。

リクルートのリモートワーク制度の特徴

コロナ禍で在宅制度を導入している企業が増えたとはいえ、まだ導入に慣れていない企業も多く、トラブルが起きてしまっているところも少なくありません。その中で、リクルートほどの大企業が在宅勤務率95%を達成したのは、以前から在宅勤務制度導入のための準備をしてきたからこそできたことです。

ここでは、リクルートが在宅勤務を浸透させるために行ったことを見てみましょう。

情報セキュリティの確保

在宅勤務制度を導入する上で、企業側が特に気にしなければならないのは、セキュリティ環境です。在宅勤務の場合、自宅のネットでさまざまな情報にアクセスするため、何のルールや仕組みもないまま在宅勤務を始めると、セキュリティリスクがかなり高まります。

リクルートでは、仮想デスクトップの仕組みを導入するなどして情報セキュリティを確保した上で、全従業員が社内イントラネットにアクセスできる環境整備を早期から進めていました。

在宅勤務手当の導入

株式会社リクルートスタッフィングでは、従業員・派遣スタッフ・業務受託プロジェクトのスタッフに対して、在宅で1日6時間以上の作業をした場合、1日あたり200円(+評価に基づく金額)が支給されています。

在宅で仕事できる環境を整えるには、机や椅子などの家具を揃える必要がありますし、電気代やインターネット料金もかさむので、在宅勤務手当はとてもありがたい制度といえるでしょう。

在宅勤務の日数制限の撤廃

また、リクルートでは、かつて存在した在宅勤務の日数の制限を撤廃しました。むしろ緊急事態宣言中は「原則」在宅勤務と全社員に通達しているため、出社ではなく在宅で勤務することがリクルート社員の当たり前として根付いたのです。

リクルートはコロナ禍で在宅勤務率95%に

リクルートはコロナ前から在宅勤務制度がありましたが、これは育児や介護など家庭の事情で出勤が難しい社員に在宅での勤務を許可するものでした。

基本的には出勤して家庭の事情などで出社できない場合に在宅が許される部署や、何の制約もなく自由に在宅勤務にできる部署など、細かいルールが部署によって異なるため、その頻度や浸透率はさまざまでした。しかし、少なくとも在宅で働くという文化はリクルートの中に昔から存在していたといえます。

そして、コロナウイルス感染拡大が始まったタイミングで、リクルートは一気にリモートワーク推奨の動きを取っています。

緊急事態宣言中は原則在宅勤務という形になっており、どうしても出社が必要と認められた一部の決算対応や障害対応などの業務を持つ社員を除き、全社員が在宅で働いていました。その結果、在宅勤務率は95%になったそうです。

さらに、緊急事態宣言中以外でも、部署ごとに出社する社員が増えすぎないようにルールを設けています。同時に出社する人数が部署単位で在籍者の50%を超えないように調整するなど、社内全体で在宅勤務を推奨しているのです。

現在はインサイドセールスが設立されたことで分業化が進み、さらにリモートが行いやすい環境になっているのも、在宅勤務率に大きく影響しているでしょう。

リクルートが柔軟な働き方を推進する背景

リクルートの経営で重視されているのが、「個の尊重」です。一人ひとりが好奇心を持って追求し、それぞれ切磋琢磨しながら成長していける環境を大切にしています。そのため、より多様な人材がそれぞれの能力や創造性を発揮できるように、柔軟な働き方を提供しているのです。

これによって、企業全体で新しい働き方に取り組みながら、より大きな価値を還元できるようにすることを目標にしています。

リクルートの在宅勤務の活用例

ここでは、リクルートの在宅勤務を活用しているワーキングマザーの例を2つ見ていきましょう。会社に行かなくても良いというのは、ワーキングマザーにとっては嬉しいことですよね。

 

リクルートキャリアでワーキングマザーとして働いていた社員は、在宅勤務が浸透したことによって、平日子どもを習い事に連れて行けるようになったと喜んでいました。

通勤時間がなくなった分、早めに保育園のお迎えにいき、そのまま習い事に連れて行くことができるようになったのです。開始時間が決まっている習い事もありますし、連れて行く時間が遅くなると帰るのも遅くなってしまうため、出社しながら習い事に通わせるのはなかなか難しい側面もあります。しかし、在宅勤務ならその心配もありません。

 

また、リクルートマーケティングパートナーズでワーキングマザーとして勤務されていた別の方は、妊娠された際にこの在宅勤務制度をフル活用してとても助かったとのことでした。

妊娠中は精神的にも身体的にも負荷が高く、その状態で満員電車に乗ったり長時間移動するのはそれだけでとても大変なものです。また、妊娠中は体調が不安定になりやすいため、仕事中にちょっと具合が悪くなることも少なくありません。オフィスだとパッと横になるのも難しいですが、自宅であればちょっと休憩するのも簡単なので、妊婦の方にとってはとても働きやすい環境といえるでしょう。

 

少し前までは、在宅勤務という概念はほぼほぼ浸透しておらず、出社はビジネスパーソンにとって当たり前のことでした。リクルートを含め多くの企業で在宅勤務が浸透してきたことで、個人の生活や意向に沿った働き方を選択しやすくなっているのはとても良いことでしょう。

リクルートでリモートワークできる職種は?

現在のリクルートでは、理由・回数を問わないリモートワークが可能となっているため、訪問営業中心の職種などの、職務上外出・出社せざるを得ない職種以外はリモートワークが可能な状況となっています。ここでは、一例として在宅勤務可能な職種を3つ紹介します。

マーケティング

リクルートが運営するサービスのマーケティング戦略策定、企画立案、実行を動かす職種です。SEOやWeb広告などのデジタルマーケティング、イベント実施などのオフラインマーケティング、TVCMなどのマスマーケティングなどのさまざまな手法を実行します。

事業企画・営業企画

リクルートが運営するサービスの課題抽出や論点設定を行い、中期的な事業計画策定やその計画の進捗モニタリングから計画修正を行うポジションです。課題に対する解決策の立案や推進を担いつつ、組織運営や組織風土作りなども行います。

UI/UXディレクター

ユーザーに選ばれ続けるサービスを作るために、ユーザーにとって使いやすいWebサービス、アプリのUI/UXを徹底的に追求する職種です。事業戦略に基づいて、定量定性の両観点から課題を特定し、短期的なUI改善から中長期的な機能開発など、さまざまなアプローチでUI/UXを良くしていきます。

リモートワークのメリット

次に、リクルートが積極的に採用しているリモートワークは、出社する働き方と比べてどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

  • 通勤時間がかからない
  • 仕事に集中しやすい
  • 育児や介護と両立しやすい

詳しく解説していくので、参考にしてみてください。

通勤時間がかからない

従業員側の目線でもっとも大きなメリットが、「通勤時間がかからない」ことです。片道30分の人は毎日1時間、片道1時間の人は毎日2時間を通勤に使っているため、在宅勤務になるとそれだけの時間が毎日浮くようになります。

もちろん、その分の時間を仕事に使って作業を早めることも可能ですし、趣味や自己研鑽の時間にあてることも可能です。

イギリスの国家統計局が発表したデータでは、通勤に1時間以上かけている人は通勤時間が1分増えるごとに幸福感が下がっていくことが分かっています。また、同じくイギリスの調査で、1日の通勤時間が20分増えるたびに、給料が19%減るのと同じくらい仕事に対する満足度に悪影響を与えるという結果が出ているそうです。

会社の近くに住めば良いという話ではありますが、家賃や家族の都合など、さまざまな理由で会社の場所を起点に住むのは難しいという場合もありますよね。そういった際に、在宅勤務ができると、通勤時間を削減できて負担がかかりません。

仕事に集中しやすい

在宅勤務は仕事に集中しやすいという声もよく挙がります。オフィスだと周囲で色んな人が会話をしているため、それが気になって作業に集中できなくなってしまったり、雑談をしている間に時間がいつの間にか過ぎてしまうこともあります。

また、他の人からいつでも話しかけられる環境では、作業を中断して相談を受ける場合もあるでしょう。在宅勤務だと自分1人の空間で仕事ができるため、圧倒的に作業に集中しやすいというメリットがあります。

育児や介護と両立しやすい

育児や介護と両立しやすいのも在宅勤務の大きなメリットです。小さいお子さんがいる家庭では、保育園の送り迎えや子どもの世話などがあって、なかなか勤務時間を確保するのが難しいです。しかし、通勤時間が浮けば出社するときよりも勤務時間を確保しやすく、育児が大変な中でもしっかり作業時間を確保できるようになります。

介護ホームへの送り迎えやお年寄りの世話なども同様です。育児・介護をしている方にとってみれば、在宅勤務ができる環境は非常に便利ですね。

リモートワークのデメリット

リモートワークには、メリットがある一方でデメリットもあります。大きなデメリットは以下の2つです。

  • 公私の切り替えがしにくい
  • コミュニケーションが取りにくい

それぞれ見ていきましょう。

公私の切り替えがしにくい

自宅がプライベート空間でありながら仕事場にもなるため、公私の切り替えがしづらくなったという声もよく耳にします。

仕事に集中できないときに、部屋にあるベッドやソファで何となくだらけてしまう方も多いのではないでしょうか。周囲の目がない分、うまく仕事モードに移行できずに家の中で勤務時間中もだらだらしてしまうという人も珍しくありません。

一方で、在宅勤務になってから働きすぎてしまうという方もいるようです。すぐ仕事ができる環境にあることから、仕事以外の時間に家でくつろいでいるときにちょっと思いついたことがあれば仕事を始めてしまったり、電車など公共交通機関の時間を考えなくて良くなったためにいつまでも際限なく仕事をしてしまったり、というケースもあります。

仕事熱心なのは良いことではありますが、体調を崩してしまう可能性もあるため、健康を害さない時間配分を心がけることが重要です。

コミュニケーションが取りにくい

在宅勤務の場合は、社員同士のコミュニケーションが取りにくいというデメリットもあります。メリットとして、周囲から話しかけられることがないので作業に集中しやすいと紹介しましたが、それは裏を返すとちょっとしたときにすぐ相談するのが難しいということにもなります。

もちろん、slackやチャットワークなどのテキストコミュニケーションツール、ZoomやTeamsなどのWeb会議システムを導入して、コミュニケーションをオンライン上で積極的に取る動きを推奨している企業は多いとは思います。

それでも、オフィスで対面している雑談などはどうしても減るため、ちょっとした話を軸に仕事上の気付きが生まれたりするシーンは少なくなってしまうのです。

特に、普段から直接ミーティングなどで顔を合わせている人たちとのコミュニケーションはWeb会議を使えばあまり減らないのですが、普段の仕事の中で直接話すことのない部署の人とのコミュニケーション量が極端に減っていきます。

直接一緒に仕事をしているわけではないので、そういったコミュニケーションの減少は一見大きな問題はなさそうに見えるでしょう。しかし、自分の部署や自分の周りで起きていることしか把握できなくなり、今他の部署で起きていることが分からずに広い視点を持って働くのが難しくなってきます。

社内コミュニケーションが減ると、長期的には従業員の生産性向上・パフォーマンス低下につながってしまうリスクもあるため、在宅勤務下において、いかにしてコミュニケーションを活性化させるかは企業にとって重要な課題といえます。

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まとめ

この記事では、リクルートに浸透している在宅勤務制度について紹介しました。在宅勤務はデメリットもあれど、そのデメリットをうまく克服することで、さまざまなメリットが得られる制度です。

実際にリクルートでは、情報セキュリティの確保、在宅勤務手当の導入、在宅勤務の日数制限の撤廃などの事前準備を行ってから導入を広めたことで、多くの社員が在宅勤務を当たり前としています。

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