なぜ営業職は転職に有利なのか?どの企業も欲しがる能力・スキルを転職に活かすポイント
あらゆる業界の企業で必要とされる「営業」というポジション。営業職には特別な資格や技能が必要ないため、「誰にでもできる」「いくらでも代わりが利く存在」と思われることもありますが、「営業職は転職にもっとも有利な職種」ともいわれています。
実際に、どの企業にも必要とされるスキルを身に付けやすい営業職は、転職にも有利といえるでしょう。
営業職は他の職種に比べて働く人の数も求人案件数も圧倒的に多いため、入れ替わりが激しい職種であるのは確かですが、一方で営業職で得られるスキルはどの業種・職種でも重宝されやすく、「営業力」の高い人材は転職市場でも引く手あまたなのです。
今回は、営業職から転職したいと思う理由や営業が転職に有利といわれる理由を深堀りし、営業職から転職するため押さえておくべきポイントをご紹介します。
目次
営業職から転職したいと思う理由は?
まずは、営業職から転職したいと思う理由について紹介します。今現在営業職で転職を考えている方であれば、こういったお悩みを抱えている方が多いのではないでしょうか。
ノルマがきつい
営業は売上に責任を持つ部門なので、企業の成長曲線そのものを決める存在です。そのため、経営者・営業責任者が営業担当に求める数字へのコミット意識も高く、それがノルマという形で提示されている企業も多い傾向です。
ノルマ達成によってインセンティブがもらえる企業もありますし、逆にノルマ未達になると上司から圧がかかったり、MTGで細かく進捗を管理されることもあります。このノルマを辛く感じて、ノルマのストレスから解放されたいと思う営業職は少なくないでしょう。
残業が多い
営業のパフォーマンスを上げるためには、徹底的な事前準備、細かな案件フォロー、お客様の声に答えるための資料作成や関係各所との調整など、時間がかかる作業をとにかくこなさなければなりません。ノルマ・目標を達成するためには自然と労働時間が長くなってしまい、残業が多くなりがちです。
年収や待遇に不満がある
上記のようなノルマや残業に不満を抱えながらも、相応の給与・待遇を受けているのであれば、それがやりがいとなって楽しめている方もいるでしょう。しかし、場合によっては「残業代が出ない」「仕事の辛さに給料が見合っていない」など、年収や待遇に不満を抱えている人もいます。辛い仕事に給料や待遇が見合っていないとなると、転職を考えるきっかけにつながってしまいます。
断られるのが辛い
いくら優れた製品であっても、受注率100%の営業は基本的に存在しません。さまざまな理由で失注しますし、競合が多い製品だと受注するのは10〜100に1つということも珍しいことではありません。
やはりお客様に断られることは人間として辛い部分はどうしてもありますし、ノルマ・目標を抱えている中でおそらく契約してくれると予想していた方からお断りの連絡が来ると精神的なダメージも大きいものです。中には、嫌そうな反応をしてくる顧客やきつい言葉をかけてくる顧客もいるので、精神的に辛いという人も少なくないでしょう。
営業職は異業種への転職も有利
上記で紹介した理由から、次は同じ営業でも違う業種で環境を大きく変えたいと考えている方もいるでしょう。営業職はさまざまな業界で役立つスキルが身に付くので、現職とは違った業界や職種に移っても応用が利きやすく、異業種への転職も有利に進みやすいです。
では、なぜ営業職は異業種への転職が有利に進みやすいのか、見ていきましょう。
ひとくちに営業職といっても、その職務内容は組み合わせによってもさまざまです。
- 商材:有形 or 無形
- スタイル:新規開拓 or 既存顧客・ルート営業(御用聞き)or 深堀営業(課題解決型)
- 対象:個人 or 法人
- 金額:高額 or 定額
- 受注までの期間:短い or 長い
特に営業職から営業以外の職種に転職しやすいのは、
- 行動量も伴う新規開拓をやってきた経験
- 論理性とさまざまなTPOで必要とされるビジネス感覚が身に付く法人営業
- 深堀営業(課題解決型)
となります。
業界は特に関係ありませんが、幅広い業界をお客様にしていた経験のある営業職の方が、転職の幅は広がりやすいでしょう。ここからは、なぜ営業職は転職に有利なのかをより深掘りして紹介していきます。
どの職種でも必要とされる基礎力が身に付きやすい
会計士や弁護士のような資格を必要とされる職業や、経理、財務、法務といった専門的な知識が必要とされる職種、近年需要が多くなっているエンジニアやデータサイエンティストなどの専門性の高い職種とは違い、営業職はごく一部の専門分野を除いて、特殊技能や難関資格は不要です。
その代わりに、さまざまな”人”と向き合って顧客の課題をヒアリングして、その課題を解決できる商品・サービスを提案するという業務を日々遂行することで「営業力」が身に付いていきます。
ここでの「営業力」とは、商品・サービスを顧客に買ってもらい、自社の利益を上げるための総合的な能力を一言に集約したものです。例えば、以下のような能力が含まれます。
- 相手のニーズや課題を引き出す課題抽出力
- 課題に対して商品、サービスがどう役に立つか説明するプレゼン力
- 相手の意図を汲み取り的確に疑問を払拭するコミュニケーション能力
- 目標達成のために社内外の関連部門との円滑なやりとりができるプロジェクトマネジメント能力
これらは、どんな職種でも必要とされる「仕事の基礎力」といえます。「ベース(基礎)」がしっかりとできていれば、業種・職種が変わっても応用性の幅を利かすことができるでしょう。
業務の大半はITツールやAIで代用できない
営業の業務の軸は「人と人とのコミュニケーション」です。基本的に向き合う相手は社内も顧客も「人」なので、想定外のことが発生することも少なくありません。人同士のコミュニケーションである以上、パターンの組み合わせは無限大にあり、そこから最適解を導き出すのはAI・コンピュータにはできないことです。
一部の業務フローや事務作業などはマニュアル化できるところも一部ありますが、今後ITツールによって業務効率が改善されたとしても、完全に代替されることはないでしょう。
また、人は往々にして本音を語らないものです。この人なら信用できる、など顧客は口を開く相手を選ぶケースも少なくありません。コミュニケーションの間(ま)、細かい表情やリアルタイムの空気感、臨機応変の立ち回りなどは、すぐにAIにとって変わることができない仕事です。
業務の中で「人間にしかできない」部分は、どの職種でも共通で必要とされることが多く、営業職の場合は主要業務のほとんどがその部分に当たるため、転職市場でも営業職の経験そのものが重宝されやすいのです。
どの業種でも役立つ営業職が持つ能力・スキル
営業職はどんな業種でも役立つスキルが身に付きますが、実際に営業職から他の業種・職種に転職する際には、「営業経験のどこをアピールすればいいのか分からない」という転職者も少なくありません。
日々の営業活動をこなしているうちに、自分自身も周りの営業職も「できて当然」の感覚が増していき、営業経験で習得したスキルが「強み」だと気付いていない人は意外と多いのです。
いわゆる「営業力」と呼ばれ、どの仕事にも必要とされる仕事の基礎的な能力・スキルを以下にいくつか紹介します。
コミュニケーション力
コミュニケーション力は、相手との信頼関係を構築する能力のことで、どんな企業でも必要とされます。
この能力は、相手の表情や目の動きや声色などを意識したり、相手がどう感じているかを考えながら行動したりすることで向上していきます。また、その相手のバックグラウンドや趣味志向、会社内での役割やミッションなども含めた上で、どう対峙するか仮説を立てて考えていくと、よりスキルアップが期待できるでしょう。
テレアポや飛び込み営業であっても、営業業務をしていると嫌でもコミュニケーション力は向上していきますが、「相手との信頼関係を構築する」ことを意識しているのとそうでないので営業としてのコミュニケーション力の差は開いていきます。
提案力
提案力は、相手のニーズや課題に対して、どのように解決するかを相手に提示する能力です。営業職においては、自社の商品・サービスが顧客の課題をどのように解決できるか、要望に対してどう役立つかを伝えることを指します。
自社商品の魅力やメリットだけをいうのは単なる押し売りになってしまうので、顧客のニーズや課題に合わせて顧客ごとに異なる提案をしなければいけません。
そういった提案をするためには、まず相手の課題や要望を抽出し、相手が置かれている状況を把握しなければならないので、情報を相手から引き出す「課題抽出力」も合わせて必要になります。
合意形成力(交渉力)
合意形成力は、顧客と自社の利害関係に折り合いをつけながら、それぞれが納得できる形で最終的な契約を締結させる能力です。相手を喜ばせるだけの契約条件では、容易に成約が取れたとしても自社の利益につながりません。反対に、自社の利益ばかりを優先していては、相手に信頼してもらえないでしょう。
相手と意思疎通をしながらお互いの妥協点を合意できるポイントに調整しなければならないため、信頼・尊敬してもらうといった人間関係だけでなく、提案の論理性や説得力、社内外の立ち回りなど、合意形成には総合的なコミュニケーションスキルが求められます。
合意形成力は、営業だけでなく、経営やプロジェクトの遂行、採用、チームマネジメントなど、仕事のあらゆる場面で活かせる重要な能力です。その他にも、傾聴力、クレーム・トラブル対応力、専門的な情報を分かりやすく伝える能力など、営業職には顧客と接することで得られる能力がたくさんあります。
このように営業職は、キャリアアップを目指す姿勢や自発的に行動を起こす力があれば、自然と経験が積み重なり、どの企業からも欲しがられる能力やスキルが身に付いていきます。
営業職の経験を活かして転職するには?
営業職から転職をする際にまずやるべきことは、「自己分析」と「企業研究」です。転職先を検討するときには、「自分が営業職で得たスキルや経験と転職先にどれだけ共通点が多いか」を考えて分析します。
営業職の経験で得られるスキルは他の職種で活かせるものが多いとはいえ、「自分がアピールしたいスキル」と「企業が求めているスキル」の乖離が大きいと採用にはつながりません。反対に、これまで自分がやってきた営業職と転職先の具体的な仕事内容に共通点が多ければ合格可能性も上がります。
例えば、「営業と採用人事」は、異職種で仕事内容に共通点が多い代表的な組み合わせです。よく採用活動と営業活動は似ているといわれますが、それは顧客(学生・求職者)へのアプローチや成約(内定承諾)を獲得するまでの過程で、必要とされる能力に共通点があるからです。
【営業活動】
自社の商品・サービスの良いところを一方的に伝えるのでなく、顧客のニーズに対して自社の商品・サービスがどう役に立つか、顧客のどんな課題をどのように解決できるか、というところで顧客と意思疎通をして契約をする。
【採用活動】
自社の良いところを一方的に伝えるだけでなく、応募者ができること・やりたいことに沿った職場環境があるか、自社に入社することでどんな活躍が期待できるか、などをお互い理解した上で内定承諾してもらう。
営業のスタイルにも寄りますが、上記のような課題解決型の営業スタイルで活躍している人材は、採用人事でも活躍する見込みが大きいでしょう。そのため、トップクラスの営業実績を持つ人が人事のマネージャーに抜擢されるのも珍しくありません。
営業職からの転職におすすめの職種
営業職から異業種への転職が有利というのが分かったところで、実際に営業職から転職するのにおすすめの職種を紹介していきます。
営業職
まずは、営業職として別の企業へ入社することです。「営業職自体は自身に合っているが、今の業界や企業の風土が合わない」「営業自体に不満はないが会社の待遇に納得できない」という方もいるでしょう。そういった場合は、営業を軸にしながら自分に合う業界や企業を探してみてください。
事務職
事務職に転職するのもおすすめです。意外かもしれませんが、事務職でも営業職で培ったスキルが大いに役立ちます。
例えば、事務作業の中には社内関係者と連携しながら要件を詰めるなど、社内でのコミュニケーションが求められるケースが少なくありません。そういった際に、営業で身に付けたコミュニケーション力が役に立つのです。
マーケティング職
マーケティング職も、営業からの転職先として人気の職種です。実際に、営業からマーケティングにキャリアチェンジする方は多い傾向にあります。
マーケティングは市場が求めているものを適切に把握して製品の価値を生み出しながらそれを上手くターゲットに届ける仕事ですが、市場に広く製品を届ける上で、営業として顧客と対峙して製品の魅力を伝えた経験と提案力は大いに役立ちます。
販売職
また、販売職という道もあります。販売という行為自体も一種の営業活動なので、営業力のある方は販売職でも即戦力となるでしょう。顧客と直接やりとりする機会が多いため、顧客の声を直に聞きたいという人におすすめです。また、自分の得意な分野や好きなことに関する企業で販売職に就けば、仕事のモチベーションもアップするでしょう。
コンサルタント
また、営業職の交渉力はコンサルタントでも大いに役立ちます。何をコンサルするかによって、その分野の専門知識・スキルも必要にはなりますが、知識を身に付ければ転職も難しくありません。また、専門知識は後から身に付けられる職場も多いです。ベースとなる営業力をアピールできれば、コンサルタントの道を歩むこともできるでしょう。
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まとめ
今回は「営業職から他の職種への転職」について、営業職が転職に有利といわれる理由やおすすめの職種などを紹介しました。営業職から他の職種に転職する際には、まず以下の3つをやってみてください。
- 自己分析:転職で実現したいこと、過去に経験してきたこと、営業職で得られたスキルを整理
- 企業研究:職務内容、企業が転職者に求めるものを把握
- 共通点分析:①と②で重なるところを積極的にアピールする
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