M&A仲介のビジネスモデルについて解説!メリットデメリットは?
M&A仲介はどのようなビジネスモデルなのでしょうか。この記事では、M&A仲介のビジネスモデルを、報酬体系、人材体制、運営形態の3つの観点から解説していきます。M&A仲介のビジネスモデルのメリットデメリットについても紹介していくので、ぜひご覧ください。
目次
M&A仲介とは
M&A仲介とは、M&A取引を総合的にサポートする仕事です。M&Aというと、会社の業績が悪くなって身売りしなければならない、大企業に安く買い叩かれるといったネガティブなイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、近年M&Aは企業の経営戦略の1つとしてポジティブに捉えられるようになってきているのです。M&Aの件数は増加傾向にあり、M&A仲介の業界もそれに伴って拡大しています。そんな中で、M&A仲介は売り手と買い手の間に立ち、取引が成立するまでサポートを行う役割を担っているのです
M&A仲介のビジネスモデル【報酬体系】
M&A仲介のビジネスモデルは、売り手側である譲渡企業と買い手側となる譲受企業のマッチングを行って、M&Aを成立させることで双方の企業から仲介手数料を得るものです。仲介手数料には着手金や中間金、成功報酬といった種類があります。報酬体系は着手金型と完全報酬型の2種類があるので、それぞれ解説していきます。
着手金型
着手金型の場合は、譲渡企業や譲渡企業とM&Aアドバイザリー契約を結んだ時点で仲介手数料が発生する仕組みです。また、M&Aの進み具合に応じて中間金を設定する場合もありますし、月額の仲介手数料を設定することもあります。
M&Aを行うには、譲受企業を選定するために企業の分析や市場調査なども必要になります。その分の人件費が発生するので、着手金をそういった費用にも充てられるのです。また、M&Aが成立しなかった場合でも、仲介者は報酬を受け取れます。
ただし、譲渡企業の立場に立つと、成功するかどうか分からないM&Aに費用を支払わなければならないことになります。その分のお金が無駄になるかもしれないと考え、M&Aアドバイザリー契約を結ぶことを躊躇うこともあるかもしれません。
完全報酬型
完全報酬型の場合は、M&Aが成立したときに成功報酬が発生する仕組みです。着手金よりも成功報酬のほうが金額が大きく、近年は完全報酬型を採用するM&A仲介会社が増えています。ただし、M&Aを成立させることができなければ報酬を得ることはできません。
譲渡企業にとっては、M&Aが成立したときだけお金を支払えば良いので、無駄なお金を支払うリスクがなくなります。
M&A仲介会社としては、調査などにかけたコストを回収することができなくなるのがデメリットですが、M&Aが成立したときの報酬は大きいので、リターンが大きなビジネスモデルといえます。また、完全報酬型なのは譲渡企業に対してで、譲受企業に対しては中間金などを設定していることが多いです。
M&A仲介のビジネスモデル【人材体制】
M&A仲介を行うには、金融や法律など幅広い専門的な知識が必要になります。そのため、M&Aをサポートできる人材は限られており、M&Aアドバイザーや弁護士、公認会計士及び会計士、税理士などの人材が必要とされるのです。
M&Aアドバイザー
M&Aアドバイザーは、M&Aに関して詳しい知識を持っていて、専門的な見地から適切なアドバイスを行える人のことです。M&A仲介会社に勤務している場合もありますし、フリーランスとして活動している人もいます。
依頼者からの相談を受ける段階からM&Aを成約するところまで、トータルでサポートをする役割です。M&Aアドバイザーという資格があるわけではありませんが、M&Aアドバイザーには、幅広い知識や交渉を進めるための交渉術、コミュニケーションスキルが求められます。より専門的な企業価値評価を行うときなどには、それに適した人材に仕事を振り分けるといったまとめ役を担うこともあります。
弁護士
弁護士はM&Aにおいて、法律面のサポートを行います。M&Aにおける法務リスクを洗い出した上で、問題点が見つかれば指摘をしたり対策をアドバイスしたりします。M&Aには、金融証券取引法や独占禁止法、労働法といったさまざまな法律が関係しています。
M&Aを行うときは法規制への配慮も必要なので、法律のスペシャリストである弁護士のサポートが役立つのです。法務リスクをそのままにしておくと、M&Aが成立した後にトラブルに発展することもあります。また、契約を締結する際の書類の作成を弁護士が行ったり、M&Aスキームの立案や法務監査などを担当したりすることも少なくありません。
公認会計士・会計士
公認会計士や会計士は、M&Aにおいて会計や財務面のサポートを行います。M&Aで特に欠かせないのは、譲渡企業の財務リスクの把握です。そのためには財務状況をきちんと調べ、キャッシュフローの分析なども行って問題の有無を確認しなければいけません。海外債務の洗い出しや、企業価値評価に基づいて価格を算定するのも公認会計士や会計士の大きな役割です。さまざまな計算方法を比較検討し、最適な取引価格を導き出します。
税理士
税理士は、M&Aにおいて税務面のサポートを行います。M&Aが成立すれば多額の金銭がやり取りされるので、それに応じて税務処理も適切に行わなければいけません。企業が支払わなければいけない税金は、M&Aの手法によっても大きく変わってきます。
できるだけ支払う税金の額を抑えたい場合には、税務に精通していることが必要不可欠です。また、譲渡企業の税務処理や過去に行っている申告などを精査し、問題がないかチェックしたりもします。M&Aが成立した後に何らかの問題が発覚した場合には、譲受企業が負担を強いられることになるからです。
M&A仲介のビジネスモデル【運営形態】
M&A仲介においては、運営形態によってもビジネスモデルが異なっています。大きく分けるとアドバイザリー型とマッチング型があるので、2つのビジネスモデルの違いについて見ていきましょう。
アドバイザリー型
アドバイザリー型とは、M&A仲介者が間に入って売り手と買い手をマッチングさせてM&Aが成立するまでをサポートする運営形態です。M&A仲介者には、士業事務所やM&A仲介会社などがあります。
士業事務所には弁護士や公認会計士、税理士といった国家資格を持つ専門家がいますし、M&A仲介会社にはM&Aアドバイザーなど専門的な知識を持つ人が在籍しています。そういったM&Aに詳しい専門家が、譲渡企業と譲受企業双方に適切なサポートを行うのです。
そのサービスの対価として、仲介手数料を得るビジネスモデルになります。専門家が介在することで齟齬が発生しにくく、M&Aをスムーズに進められるのが特徴です。また、M&Aの成約率が高いのもアドバイザリー型の特徴といえます。
マッチング型
マッチング型とは、オンライン上のM&Aプラットフォームで売り手と買い手をマッチングする運営形態です。仲介者が存在せず、自分でM&Aの相手を探します。M&Aプラットフォームを運営している会社に報酬が入る仕組みで、譲渡企業と譲受企業が直接交渉を行うので、どちらもM&Aについての一定の知識を有している必要があるのです。
マッチング型のプM&Aプラットフォームは手軽に利用できますが、専門家のサポートを受けられないといったデメリットもあります。M&Aプラットフォームはさまざまで、提供しているサービスや使いやすさが異なっており、必要に応じて専門家のサポートを受けられる場合もあります。
M&A仲介のビジネスモデルのメリット
M&A仲介のビジネスモデルには、さまざまなメリットがあります。
- M&Aの成約率が高くなりやすい
- 専門家のアドバイスを受けられる
- 希望通りのM&Aが実現できる可能性が高い
それぞれ見ていきましょう。
M&Aの成約率が高くなりやすい
M&A仲介のメリットには、M&Aの成約率を高められることがあります。M&Aで会社を売却しようというときは、買ってくれそうな企業を見つけるのがまず大変です。全く条件に合わない企業にアプローチしても、無駄骨に終わってしまいます。
しかし、M&A仲介会社には買ってくれそうな企業の情報が蓄積されているので、可能性の低い企業は省き、効率的にアプローチできるのです。
また、M&Aの交渉では売り手と買い手の主張がぶつかることも少なくありません。条件交渉が折り合わず、なかなか進展しないことも多いのです。そんなときも、M&A仲介ではM&Aアドバイザーなどの専門家が客観的な立場で落としどころを探ってくれます。M&Aの実績が豊富なM&A仲介会社であれば、両者の利害調整を行った上で妥当な着地点へと導いてくれるでしょう。
単に知識があるというだけではなく、交渉力やコミュニケーション力なども備えているので、M&Aの成約率が高まるのです。
専門家のアドバイスを受けられる
会社にとって、会社や事業を売却したり買収したりするのは、非常に大きな決断です。M&Aの経験が豊富という企業はあまりありませんし、むしろM&Aを初めて行うという企業も多いです。
そういった場合には、M&Aに関して分からないことも多いですし、ちょっと勉強しただけでは理解しきれないこともたくさんあるでしょう。また、M&Aでは財務や税務、法務など幅広い分野の知識が必要です。
M&A仲介会社を利用すれば、全ての工程において適切な専門家のアドバイスを受けられます。面倒な書類の作成や手続きもサポートしてくれるので、スピーディーにM&Aを進めることが可能です。
希望通りのM&Aが実現できる可能性が高い
M&Aを検討するとき、譲れない条件が必ずあると思います。M&A仲介を利用するメリットには、そのもっとも優先したい条件を踏まえて交渉を行ってくれることが挙げられます。専門家が交渉を行うことで、売却額や買収額、従業員の雇用条件などについて希望条件に近いM&Aが実現できる可能性が高いのです。もちろん、法外に高い売却額や低い買収額というのは望めませんが、妥当な範囲での希望を叶えやすくなります。
M&A仲介のビジネスモデルのデメリット
M&A仲介のビジネスモデルには、メリットだけではなくデメリットも存在します。
- 仲介手数料がかかる
- 利益相反取引の可能性がある
デメリットもしっかりと把握しておくようにしましょう。
仲介手数料がかかる
M&A仲介会社に依頼をすると、当然のことながら仲介手数料が発生します。M&A取引の仲介手数料は決して安いものではありません。取引額に応じて手数料が計算される仕組みになっているので、取引の規模が大きくなれば仲介手数料の額も上がります。
会社を丸ごと売却するわけですから、元々の取引額も大きく、仲介手数料の額も高額です。仲介手数料が高額な理由として、非常に専門性の高い分野であることなどが挙げられます。法律や会計、財務、税務など専門的な知識を持っている人材は限られるので、人件費が高くなってしまうのです。それに加えて、M&Aは成立するまでにさまざまな工程があり、時間がかかることも理由の1つに挙げられます。
企業価値評価、価格の算定、条件交渉、契約手続きなど、業務内容はさまざまです。1つ1つ丁寧に行っていくと、どうしても時間がかかってしまうため、費やす時間に見合った仲介手数料を設定するとM&Aの仲介手数料は高くなってしまいます。
利益相反取引の可能性がある
M&A仲介会社は、売り手側の譲渡企業と買い手側の譲受企業の間に入って仲介を行います。譲渡企業としてはできるだけ会社や事業を高く売りたいものですし、買う方としてはできるだけ安い値段で買いたいというのが本音です。
売り手と買い手の利益が相反する取引の場合、条件交渉がなかなか進まないことも考えられます。客観的な立場で落としどころを探るのがM&A仲介の役目であり、交渉力を発揮できるかが大きな鍵です。難しい交渉であることは間違いありません。
また、譲渡企業や譲受企業の顧問税理士・顧問弁護士などの専門家とM&A仲介会社の士業専門家が対立することもあるようです。
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まとめ
M&A仲介のビジネスモデルについては、報酬体系、人材体制、運営形態の3つの観点から見ることで詳しく理解できます。報酬体系のビジネスモデルは、譲渡企業や譲渡企業とM&Aアドバイザリー契約を結んだ時点で仲介手数料が発生する着手金型と、M&Aが成立したときに成功報酬が発生する完全報酬型の2つです。
M&A仲介を行う人材には、M&Aアドバイザーや弁護士、公認会計士・会計士、税理士などがいます。運営体制も、売り手と買い手をマッチングさせてM&Aが成立するまでをサポートするアドバイザリー型と、オンライン上のM&Aプラットフォームで売り手と買い手をマッチングするマッチング型の2つです。
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