SaaS営業の特徴や一般営業との違いを解説!転職で求められるスキルも紹介

SaaSとは、インターネットを介せばどこからでも利用できるクラウド上にあるソフトウェアのことで、SaaS営業はそのソフトウェアを販売する職業です。

 

この記事では、SaaSとは何か、ARRやCACといったSaaS営業が知っておくべき用語、SaaS営業の特徴などを解説していきます。

 

一般営業との違いなども解説していくので、SaaS営業について知りたいという方は、ぜひ記事をご覧ください。

SaaS営業って何?

SaaS営業は、SaaSサービスを販売する活動のことです。

 

SaaSサービスの代表的な例としては、chatworkやSlackなどのビジネスチャット、freeeなどの会計ソフトが挙げられます。毎月継続してお金を支払ってもらうことで、売上が向上していくシステムです。

 

そのため、1度売れれば終わりではなく、顧客との継続的な関係性を大切にして、サービスに対する満足度を上げることが重要です。

SaaSとは

SaaSとは、インターネットを介してユーザーが利用できるソフトウェアで、ユーザーはソフトウェアをインストールする手間がありません。SaaSの特徴としては、インターネット環境さえあればどの端末からでも利用できるという点です。

 

これは、ソフトウェアがクラウド上にあり、アカウントによって管理されているからこそ可能なサービスとなっています。さらに、ドキュメント編集機能及びストレージ機能が備え付けられているため、複数人での内容の閲覧や書き換えも可能です。

 

代表的なSaaSサービスにはchatworkやZoomなどがあり、IT化社会においては身近な存在になっています。

一般営業との違い

一般的なプロダクトを販売する営業職では、1度売り切ってしまえば利益実績になります。そのため、プロダクトの質がいまいちでも営業力があれば契約に結び付けられるのです。

 

しかし、SaaSビジネスでは一旦契約しても解約されてしまっては意味がありません。

 

SaaSでは、顧客を獲得するためにかけたコストを利益で回収するためにはどのくらいの期間がかかるのかを表す、「payback period」という指標があります。多くのSaaS企業では、「payback period」が1年以上かかり、スタートアップ企業ではさらにその期間が長くなる傾向です。

つまり、無理に契約してもらっても、1年以内に解約されるとむしろ赤字になってしまいます。そのため、SaaS営業では継続して利用してもらえるサービスを提供しなければなりません。

また、長期間に渡ってサービスを利用してもらえるように丁寧なヒアリングを行い、技術スタッフを巻き込みながら改善点を反映させていくことが重要です。

SIer営業との違い

Sler営業は、ITで顧客が抱える悩みを解決するコンテンツを販売する活動です。Sler営業を細分化すると、既存のサービスを複数の企業へ提供するソリューション営業というものがあります。

 

ソリューション営業もSaaS営業も、クラウド上のオンラインツールを提供していくという点では似ているのですが、ソリューション営業は顧客に合わせて顧客専用に開発しているのに対して、SaaS営業はすでに開発しているものを販売するという形です。

SaaS営業が知っておくべき用語

ここからは、SaaSの営業を行っていく上で、知っておくと便利な単語を紹介していきます。SaaS分野は人材が不足しているため、異業種からの転職でも成功しやすいといわれていますが、全く知識がないと大変でしょう。

 

そこで、ARRやLTV、ChumなどのSaaSサービスに関連する知識を事前に頭に入れておくと、転職でも優位になりやすいです。ここで紹介する用語を事前に覚えておけば、SaaS営業にも大いに役立つでしょう。

ARR

ARRとはAnnual Recurring Revenueの略で、1年間の営業で最低でも得られるであろう収益を指します。ARRの算出ではSaaSサービスの利用者が支払ってくれる額を重視しており、初期費用といった一時的に得られる利益は含みません。

 

SaaS営業では、顧客が継続的にサービスを利用してくれることが利益の安定化につながるので、いかにクライアントを減らさずに維持・拡大していけるかが重要です。それによってARRの額も大きくなり、さらなる事業展開が可能になります。

LTV

LTVとはLife Time Valueの略で、取引を開始してから終了するまでの期間に、クライアントが自社に対してどのくらいの利益をもたらしたのかを表す指標です。

SaaS営業の場合は、契約してから解約するまでに顧客が支払ってくれた総額になります。つまり、契約期間が長ければ長いほどLTVの額も増加する計算です。

 

LTVを上げるためには、ユーザーに継続して自社のSaaSサービスを利用してもらうために、エンジニアなどあらゆる部署と連携しながら改善点を反映していく必要があります。また、長期間利用してくれる顧客には割引キャンペーンを打ち出すなど、継続利用するメリットを提示することも重要です。

 

CAC

CACはCustomer Acquisition Costの略で、クライアント一人を獲得するためにかかるコストを指します。具体的には、自社のSaaSサービスを周囲に認知してもらうために必要な広告費や、営業を雇う人件費等などです。

 

より多くの利益を上げるには、CACのコストを下げる必要があります。SaaS営業はクラウド上での営業がメインとなるので、対人営業を減らして営業コストの削減が可能です。

 

また、不特定多数に向けてではなく、関心を持っている特定の層だけが集まっているSNS等でアピールすれば、広告にかかるコストも抑えられます。

Churn

Churnとは、SaaSサービス利用者のうちどれだけのクライアントが解約したかを示す割合で、Churn rate(解約率)とも呼びます。クライアントから継続して利益を上げる必要があるSaaSにおいては、いかに解約率を抑えるかが重要です。

 

したがって、1度売れれば安泰ではなく、解約されない様に面白いまたは便利なコンテンツを提供し続けなくてはいけません。それでも、解約してしまう顧客はある程度生じてしまいますが、全体の2%程であれば問題ないとされています。

MRR

MRRとはMonthly Recurring Revenueの略で、1ヶ月で少なくとも発生すると予測される収益です。月ごとにMRRを比較することで、このSaaSがどれだけ成長しているかが分かるので、投資家の間で注目されており、投資するか否かの重要な指標になっています。

 

類似した指標にARRがありますが、ARRは年単位での収益額を示すという点が異なります。そのため、月によって収益が変わるSaaSサービスでは、MRRを指標にしたほうが評価が正確です。

NRR

NRRとはNet Revenue Retentionの略で、継続して得られる収益(リピーター)がどれだけ維持できているかの割合です。継続利用者の存在が大事なSaaSビジネスにおいて、運用が軌道に乗っているかの分析に役立ちます。

 

NRRの割合から来月や来年の売上の推測が可能です。利益が安定化するには、少なくとも100%以上が必要だとされています。

 

反対に、100%を下回る場合は解約者が増えているなどの問題が発生しているため、分析と課題解決が必要です。

 

ユニットエコノミクス

SaaSにおいてのユニットエコノミクスとは、顧客一人あたりからどれだけ採算が取れているかを示す指標で、LTV/CACで算出が可能です。SaaSでは一人あたりの採算性を重視されるため、ユニットエコノミクスでどれだけ利益が確保できているのかを可視化する狙いがあります。

 

顧客が増加して一見収益が増えているように見えても、新規顧客の獲得コストが大きければ最終的に手元に残るお金が減って、採算が取れません。この指標を元に、さらにコストをかけて顧客を増やすかどうかといった判断が行われます。

プライシングモデル

SaaSでのプライシングモデル、つまり価格設定のモデルは、いくつかのパターンに分けられます。代表的なものとしては、以下の3つです。

 

  • 全機能使いたい場合に料金を支払うフリーミアム
  • 月額・年額で料金を支払う定額プライシングモデル
  • 使用した量だけ課金する使用量プライシング
  • サービスの内容量ごとにパックになっている階層型プライシング

 

SaaS営業に限ったことではありませんが、営業では自社サービスについてどれだけ理解しているかが重要です。SaaS営業の際は、自社サービスのプライシングモデルも把握しておく必要があるため、しっかりとそれぞれのモデルの違いを理解しておきましょう。

フリーミアム

フリーミアムとは、一部のサービスを無料で利用可能にしているプライシングモデルです。課金をすれば全ての機能を利用できる、あるいは使える機能が増える仕組みになっています。

 

このモデルを導入している代表的なサービスにZoomがあり、3名以上で時間無制限のグループトークをする場合には有料プランに入らなければいけません。

 

フリーミアムでは、もっとも便利な機能に制限をかけることが重要です。ただし、有料版に移行させるには、無料版の機能も充実させてユーザーを増やして、潜在ニーズを作っておく必要があります。

定額プライシングモデル

定額プライシングモデルとは、月額及び年額を支払うとサービスの全てを利用できるモデルです。代表的なものにはCartHookと呼ばれるマーケティングアプリなどが挙げられます。

 

サブスクリプションではAmazon Primeなどがあるため、一般的にはそちらのほうが分かりやすいでしょう。Amazon Primeでは、月額費用を支払うことで収録されている動画全てが見放題になります。

 

課金システムが単純な上に機能に制限がかかることがないので、便利で分かりやすい料金体系です。一方で、不要なサービスに対しても対価を支払わなければならないなどの理由で満足度が低下して、解約につながる可能性があるといったデメリットもあります。SaaSでは、他の2種類に比べると少ないモデルです。

使用量プライシング

使用量プライシングは、無制限に利用できる代わりに使った分だけ費用を請求するモデルです。使った分だけ対価を支払えば良いので利用するハードルが下がり、契約数のアップにもつながります。

 

顧客も納得して使えて満足度も上がるため、継続して利用してもらいやすいのがメリットです。その一方で、クライアントが毎月同じ容量を使用するとは限らないといった点から、月に得られる収益がどのくらいなのかの予想が立てられないというデメリットもあります。

 

階層型プライシング

階層型プライシングは、サービスの内容量に合わせてパック化し、それに応じた価格を付けていくモデルです。

 

パックごとにどのようなサービスを盛り込むかが重要で、顧客にとって1番価値を感じやすいサービスを1番価値の高いパックに入れることで収益を上げられます。

 

このモデルの場合、必要最低限のサービスだけ利用できれば良いという顧客も獲得できるのがメリットです。一方で、利用できるサービスを階層化していくので、煩雑化してしまうというデメリットもあります。

SaaS営業の特徴

SaaS営業は1度契約したら終了というわけではなく、継続的に利用してもらうことが重要です。クライアントの満足度が低下して解約されてしまうと、売上が少なくなってしまうため、契約後も継続的なサポート体制が必要とされます。

 

また、継続的な関係性を築くために、契約後も密に連絡を取り合うのが効果的です。クライアントの元まで行ってコミュニケーションを取るのではなく、電話やメール等でやり取りするインサイドセールスを行います。

SaaS営業への転職で求められるスキル

SaaSサービスを扱う営業職でも、基本的な営業マンのスキルは求められます。さらに、販売する自社のSaaSサービスについて精通していなければいけません。

 

また、SaaSではクライアントが求めているものをしっかりと引き出して、長期的に満足して使っていただけるサービスを提供していく必要があります。転職の際には、それらの力が備わっていることをアピールしていくと良いでしょう。

自社サービスの知識

継続的に利用してもらうためには、自社のSaaSサービスの魅力的なポイントを把握しておく必要があります。そのポイントを契約の際に分かりやすく伝えて契約してもらうことはもちろん、契約後に実際に使用したクライアントがその魅力を実感できれば高い満足度が得られるでしょう。

 

しかし、契約をしてもらいたいからといって営業トークで大風呂敷を広げすぎると、顧客の期待値が上がりすぎてしまいます。契約後に、「想像していたよりも使いにくい」、「思っていたよりもサービスの質が良くない」という印象になると満足度が下がりかねません。満足度が下がると解約につながりやすくなり、解約率が上がってしまうので注意してください。

 

また、新規顧客が獲得しにくいビジネスであるため、少数精鋭での個人プレーよりもチームでお互いにサポートしていくほうが効率的です。個人では補いきれない知識も、チーム全体で共有しあうことで、自社のSaaSサービスについてフォローアップしやすくなります。

顧客のニーズを把握するヒアリング能力

通常の営業ならば、トーク力やどれだけ自社サービスのアピールができるかで成績が左右します。しかし、SaaS営業では長期的に継続して利用してもらうことが重要なので、通常の営業以上にヒアリング力が必要です。

 

そのため、一方的にアピールを押し出すのではなく、クライアントのニーズを引き出すようにしましょう。さらに、契約後もサポートをして満足度を高めて、契約を持続してもらわなければいけません。

 

顧客のニーズや自社サービスへの不満などを聞き出して、サービスの提供や改善をする際に役立てましょう。

中長期的な視点

SaaS営業で売上を伸ばすには継続的に利用してもらう必要があるので、中長期的な視点でサービスを販売しなくてはなりません。

 

具体的には、目先の利益にとらわれてより高いコースに無理矢理契約させてしまうよりも、予算や希望等を聞いて長期的に利用してもらえるコースを案内するといった営業方法が重要です。

 

高い契約をしてもらって1年で解約されるよりも、1ランクグレードの下がった契約になってしまったとしても5年間継続利用してもらえば、高い利益につながります。中長期的に利益を上げることがSaaS営業の重要なポイントです。

SaaS営業の注意点

SaaS営業で注意すべき点は2つあります。

 

1つ目は、SaaSサービスの内容が分かりやすいWEBサイトを作っておくべきということです。サービスに興味を示してくれた見込み顧客がWEBサイトを見たときに、分かりにくいサイトだと契約意欲が削がれてしまったり、契約内容が分からず問い合わせが増えてしまいます。

 

顧客からの問い合わせが増えると、顧客獲得コストが大きくなってしまうため、自社サービスのことを知らない人でも分かりやすいサイトにするように注意しましょう。

 

2つ目は、顧客とのやり取りをチーム全体で共有する必要があるという点です。顧客の情報や案件の進捗をチーム全体で把握できれば、チーム全体でフォローしながら営業活動を行っていけるため、会社全体の利益も上がりやすくなります。

 

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まとめ

SaaS営業では、自社のサービスを継続して利用してもらうのが収益アップの大事なポイントです。そのためには、メールや電話でコンスタントに連絡を取り、自社サービスのどの点がクライアントの抱える課題を解決するのかをしっかりと説明できなければいけません。

 

また、人材が不足している分野なので転職のハードルは下がりますが、未経験からだと思うような条件で転職できない可能性もあります。その際には、SaaS企業の求人を豊富にそろえているサムライソウルで理想の求人を探してみてください。転職のサポートも充実しておりますので、ぜひご利用ください。

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